著者コラム

本ができるまで

著者から寄せられたコラムを紹介しています。

宮本  佐紀

そうして雨に朽ちながら

そうして雨に朽ちながら

人間の、ものをつくるという衝動が一体どこからくるのか私はそれを未だ謎のように思っています。

私自身のことについても、ものを書く理由として「子どもが持てなくなったため、身体で産めないのなら心で産む」と説明をつづけてきましたが、それも、当たらずしも遠からずくらいのことのように思います。

実際はなにか現実にあるものから目をそらすためだけに、対象、または自分のなかに没頭し結果運がよければなにかが引きずり出されてくるだけのことなのかもしれない。

ただ、ものをつくることが「衝動」だけでなく人間に仕込まれた「本能」の一部なのだということもやはり感じずにはいられません。

伝達する力を信じていること、または信じようとすること、それが、ものを食べ、眠り、子孫を遺すことと同じようにあらゆる人のなかに仕込まれているからこそ人間は、動作で、言葉で、音で、力で、または知力によってなにかをつくりだし、誰かに渡そうとする。

たとえ否定的なものであれ、零から有を産むのであればやはりそれは「つくること」であり、そこから新しい奇跡や軋轢が生まれてゆく、全てがそこから生まれるからこそ、あらゆる軋轢を超える力もそこにあるのではないかと。

よくある夢ですが、やはり人間とはそのようなものなのだと思います。
今日も世界中で、人々はお互いの肩を叩き、微笑み、罵り、抱きしめ、殴り、謀略し、議論し、憎み、料理し、歌い、産み、殺している。

それらを結び新たな力を産みだすことのできる最大の手段が芸術であり、ペンを片手にその枝先にぶら下がることができれば、私は生きている甲斐があるように思います。

宮本  佐紀

御庄博実先生

詩人の御庄博実先生よりこんなお手紙をいただきました。
先生から、何にでも使ってくださいとのおゆるし頂いたので、ここにもお知らせします。

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あとがきのない詩集をいただいて、戸惑いました。

私は生きているのでしょうか。
あなたは生きていますか、

僕はいつも新しい本を読むとき一番後ろから読みはじめるので、このフレーズが心に刺さりました。
それで初めにかえって読んだのです。

優しさと哀しみと、別れと出合いと、
この地球上のどこであってもいい、夢幻の世界と現実の世界の交錯

みごとなモザイク模様が描き出されている詩集だと思います。

——日が死んでゆく、その一秒一秒が水となり、私の病巣と呼応し渦を巻き……(P.16)
悲しみが、透明な水になってオフェリアをつつみ込んで流して行きます。

「東の島」は、何処でしょうか? 東南アジアでも、地中海でも、或は夢の世界の、淫売窟でもの、 夢幻の迷路なのでしょうか?

生・死を超えた夢の楽奏。
幾度か、繰り返して読まなければならない「詩集」、そのたびにまた別の世界が開け るのでしょう。
僕もまた時間を置いて読み直してみたいと思います。
抜群の散文詩というべき一冊でした。
おそらく、充分に読みこなして、ということはこの詩集については「出来ない」と思います。
手重りのする一冊、ありがとう。

御庄博実

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みっつのお便りをまとめています。
いただいた言葉を精いっぱい生かすことが、言葉をいただいた者のつとめかと。

2012.11.20/宮本  佐紀

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