なだらかな御齋所街道の峠を越えると真正面に入り陽が燃えていました。
そこにたった一本ですが、 千年けやき が光背を抱くようにして立っていたのです。地表を這う根っこは路を廻らせ、幹は天空高く三角錐に双手を挙げていました。
昔からそれは宿駅の目印となり、集落を見守り続けました。ときに受けた戦乱と落雷の傷跡は、まるで勲章そのものでした。
「けや・き」 (すっくと際だった木)は、万葉のころ、大(おほ)ツ木(大槻)と呼ばれ人々の拠りどころとして、聖(大)なるものだったようです。
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なだらかな御齋所街道の峠を越えると真正面に入り陽が燃えていました。
そこにたった一本ですが、 千年けやき が光背を抱くようにして立っていたのです。地表を這う根っこは路を廻らせ、幹は天空高く三角錐に双手を挙げていました。
昔からそれは宿駅の目印となり、集落を見守り続けました。ときに受けた戦乱と落雷の傷跡は、まるで勲章そのものでした。
「けや・き」 (すっくと際だった木)は、万葉のころ、大(おほ)ツ木(大槻)と呼ばれ人々の拠りどころとして、聖(大)なるものだったようです。
背の高さゆえ、神鳴り(雷)・イナヅマ(稲妻)の大地との婚姻をいざない、雨を呼び、稲を実らす仕事を担ったのでしょう。
思いは高く、くらしは低く、と言った出版先覚とこの 「欅」 は、重なって私たちに貽(おく)られたものと思っています。
杉並けやき出版・発行人/小川 剛