■出版社に問い合わせする前のあれこれ

■資料を送ってもらいましょう

■杉並けやき出版の仕事

■自費出版・共同出版


■本づくりと出版と

このご案内の各章は、はじめて出版を経験される方のご参考になれば、と作りました。
逐次加筆の予定でいます。掲載もくじは、
1. 出版社に問い合はせする前のあれこれ
2. 資料(無料)の送付をたのむとき
3. 本の編集・制作とは
4. 出版
5. 自費出版本の配本のいろいろ・流通配本とは
6. 費用を分担しての出版の仕方、他
等の予定です。タイトルが少々変わるかもしれませんが。

1.


■出版社に問い合わせする前のあれこれ

●「自費出版する人が多くなったのはなぜなんでしょう?」が、友人とときどき話題になります。そしていろんな因果もあげられた後、「書き、贈らずにはいられないところまで、わたしたちは来てしまっているからだ」と、含みの多い話で終わります。
 編集・発行人としては、そんな展望をも胸に収めながら、
筆者が安心して想いの丈を表現できる環境を整えることが使命かと思います。

 今年、ある出版社を退職した友人が、「だんだん電話での出版相談が少なくなって、以前のように著者の顔が見えにくくなった」とつぶやいていました。筆者にとってはもったいないことです。電話であっても、直接話をするということは文書でのそれより何倍も内容・密度の濃いものが得られやすいですし、それに編集者の中身をも判断できるかも知れないのですから。
 
筆者は編集者からいい話を引き出すためにも、話の材料を持っておくことが必要です。


●筆者に、ひとつ心に決めて欲しいことがあります。
 それは、
「自費出版の目的、誰に読んで欲しいですか?」ということです。
 ここに、『PPマガジン』(2008年9月号、日本自費出版ネットワーク)で1400人に実施したアンケート設問と集約があります。(頭の数字は、1位〜6位の順)

   2. 家族(親族)、友人に読んでほしい
   1. 作品をできるだけ多くの不特定の人に読んで欲しい
   4. 記録として残したいので読者は考えない
   5. 著作家を目指している
   3. 専門家の評価を得たい
   6. その他

 どれに当たりますか? 
 2.と1.と4.それぞれ、表現や客観史料などでチェックしますが、編集内容や程度に格差はそれほどありません。ただ制作・造本、出版、配本に至るまでの内容に違いがでてきます。
 たとえば、2.家族・友人の場合ですと、出版部数も20〜300部ほどで充分でしょうし、カバーデザイン等も商業出版物のように、そう擬らなくてもよいかも知れません。
 1.多くの不特定の人に、という場合は、筆者が独自の送呈を行うか、書店配本を考える必要がでてきます。書店への配本を考えるとなると、他の一般商業著作物と肩を並べるだけの装釘と内容をさらに充実させたくなりますし、出版部数も、
委託配本(*)の場合ですと、500〜1000部の造本ということにもなります。書店注文配本(*)はその点部数を最少に抑えることができますが。  (*)については追って加筆したいと思います。
 わたしがとても気になるのが、4.の、読者は考えない、という出版です。
 部数はほんとうに少なくて充分です。ただ、「本」「書籍」として作られるものですからそのうちの1部は、前記の書の場合と同様に書籍番号(ISBN)登録をして、国会図書館に「納本」したいものです。

 どんな範囲の方に、この「思い」「こと」を贈り伝えたいか、読んで欲しいかを、執筆のできるだけ早い段階で決心されるといいと思います。


●また、ご自分の著作物の、部門・分野について、意外でしょうが、軽視しがちです。
いま、
執筆されている分野・ジャンルはなんですか? と聞かれて迷ったりしませんか? 
(これもネットワークの分け方を参考にしました。)

 ○地域文化の部門ですか。
  郷土史、地域史、民族記録、地域人物伝、記念誌など
 ○個人誌の部門ですか。
  自分史、一族史、追悼集、遺稿集、旅行記、闘病記、趣味など
 ○文芸の部門ですか。
  小説、戯曲、エッセイ、童話、詩集、短歌、俳句、川柳など
 ○研究、評論の部門ですか。
  人文、歴史、社会、他、評論、評伝など
 ○グラッフィックの部門ですか。
  画集、写真集、絵本など


●もうひとつは、覚え書き(メモ)を原稿用紙1枚ぐらいに、希望内容(前記含め)と著作内容の粗書きをまとめて置くことをお奨めします。電話でいろいろ問い合わせを具体的にする場合は、さらに箇条書きで、知りたいこと・確かめたいことをメモして置きます。メモを見ながら話されたらいいでしょう。

 これらを伝えることによって編集者から、蓄積した経験からのアドバイスを得られやすくなります。

 ご参考に、先のアンケートから、
 ○最終的に制作会社を選択するための判断材料として重視したものは? というものを載せてみます。(頭の数字は、1位〜6位の順)

   6. 制作会社のホームページの内容、レベル
   4. 制作会社の電話や手紙などの対応
   1. 担当者の印象や、出版・編集・印刷などの知識
   5. 制作会社の規模や雰囲気
   3. 制作会社で実際に制作した本の内容、形態
   2. 制作・販売費用の見積り額
   7. その他

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2.


■資料を送ってもらいましょう

●資料の請求は、お手紙・お葉書、あるいはメールなどいづれの方法でもいいでしょう。
 (もし編集者の個人名がわかれば個人氏名を書き添えるといいですね)

 ・・見本・・(以下のような内容をご参考にしてみられてはいかがでしょう)

     ◯自費出版案内資料・制作料金一覧・見本誌の送呈希望
     ◯ジャンル  自分史
     ◯書店配本は考えていない。50部ほど。
     ◯判型(本の大きさ) 四六判(ほぼ186×132ミリ)
     ◯並製・ソフトカバー、捲きカバーはあっさりしたものにしたい
     ◯書籍番号(ISBN)登録希望
     ◯手書き原稿・400字詰めで約300枚・文中写真5〜6点
     ◯ご住所・ご氏名・電話

          (※ご住所等は資料送付以外の利用は一切ありません)

 複数の出版社に送ってみましょう。

 もし、はじめから、よりしっかりした提案・見積・案内をご希望のときは、内容を要約したものか、原稿を添えることをお奨めします。ただ、到着まで時間がかかると思いますが、より具体的な編集・制作あるいは出版・配本や制作料金見積書が提示されて来るものと思います。


●案内資料が届きました。さぁ、何を基準に資料を読み解きますか。
 料金ですか、編集力ですか、流通配本ですか、その場合印税ですか? などなど・・・です。
 筆者は、大変ですが執筆と同様にひとりで決めることになります。それはある意味で自己を与ける期待感と不安のない交ぜの決心ですね。


出版社を選定します。
 が、出版契約はまだ結びません。


出版社に原稿と併せて希望を書き添えて送ります。
 原稿のチェックなどを可能な限りして貰えるか、を一筆添えて置きましょう。


●筆者の原稿を拝読し、編集者は書籍イメージや原稿状況を踏まえて提案書をつくります。提案にもとづいた見積書や申し合わせ書(契約書)2通もつくられます。


了解したのち、契約書の1通を出版社に送ります。


●出版社は制作に入ります。

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3.


■杉並けやき出版の仕事

 もし、これから原稿を書き始める方でしたら、「編集者」から何らかの役立つ話を引き出してはいかがでしょう。決して無駄にはならないものがあります。
 またもし、テーマや資料があって「代筆」をご希望なさるときにも、編集者とお話しすることをお勧めします。

(1)

原稿

 書かれた原稿は、手書きのものでも、パソコン・文字データでもどちらでも結構です。(バックアップは必ずとっておいて下さい)

・入稿・送稿の用意ができましたら、必ず編集者宛連絡をとりましょう。あわせて、必ず希望を伝えましょう。たとえば、「共同(=援助分担)」出版の形をとって出版できるか、どうか、またどうすれば、それが実現できるか、などです。

・下読み(送付された原稿を読みます) 筆者の希望を実現するには、何が必要か、などを考慮して読みます。

・筆者に、その後、提案書を送ります。そこには、ソフトカバーか、ハードカバー(上製)か、本の判型(大きさ)や、大まかなページ数、文章の手入れは、どの程度ありそうだとか、従って概算(料金)はこれぐらいだとか、明記したものです。
 あわせて、制作・出版契約書も作られます。

・筆者が、その提案・契約に納得できましたら、概算料金のほぼ半額(半金)以内の料金を支払います。

(2)

校閲・編集・校正

・出版に向けて始動します。先ず本書の役割の位置づけや、意義などについて所見をまとめます。

・それを受けて、全体構成や文章他に手を加えたりする編集を行います。ときには、筆者が参照した量以上の資料とつき合わせすることもあります。ただ、手を入れて欲しくないとする筆者の意向には、従うのは当然で、その範囲内で行うことになります。

・本書が、書店流通させたいとするものならば、ここはきっちりと煮つめたいところです。

・内校(出版社側で校正)したゲラ刷り(仮出力紙)を筆者に届け、筆者のチェックを受けます。この工程は二回、繰り返されます。

・このとき、取得した書籍コード:ISBN(International Standard Book Numbering=国際標準図書番号)の載った本のカバーもあわせて、チェックすることができます。

(3) 印刷・製本

a. 本の大きさ(判型)
 書店の棚を見ると、似たような大きさの本がコーナーを形づくっています。文庫本、新書本、四六(しろく)上製本など。文庫はA4判の4分の1の大きさです。
 ここでは、書籍広告でもよく見られる四六判について記します。
 紙には、A判、B判、四六判と他にいくつも大きさの種類がありますが、日本ではB判(たとえばB5判の週刊誌)のものを作るのに、ひと回り大きい四六判の紙をよく使います。規格のB6判(182×128/mm)の本ですと、32頁分が一枚の紙からとれます。しかし紙を無駄なく使うと、
四六判(と通称している)186×132/mm(出版社によって異なる)は、B6判より大きめでもやはり32頁分とることができます。
 経費上も、情報量の上からも、そして既製の書店棚に並べる上からも、
私のところでもこの四六判サイズの本が主流です。

b. 本のページ数は?
 上製本綴じ口(ノド)をよくごらんになると、16ページ、あるいは32ページごとにまとまっているのか分かります。そのブロックをまとめるのに糸でかがっています(最近は、糸でかがらないものも見受けられますが)。
 本の本文は、
16か32の倍数ページで完成させるのが、堅牢で経済的だということになりますね。
 並製(ソフトカバー)の本も、それに準じた方がいいでしょう。

C. 印刷方式のちがい
 伝統的には活版印刷があり、紙に印圧がかかるので文字が紙面にくい込み、根強いファン層がいます。
 が、いま第一線で活躍しているのは
オフセット印刷と呼ばれるものです。現在これが、最も文字・写真がすっきりと再現されるので、主流です。

 もうひとつが、デジタル方式です。デジタルコピーを印刷機に適用したものと思えば分かり易いでしょうか。ただ16ページを一度に刷り上げるものは、まだ完全に並及していませんが、小さな機械でプリントするソフトカバーの本ならば、1〜5部程度作るには、低料金で仕上がります。(ここでも、編集だけは、きちんとしたいものです)

d. 製本

 書籍で多く見られるのは並製(ソフトカバー)上製(ハードカバー)です。
 一般的にどちらを選ぶかは、内容と筆者の希望、また編集者のねらいなどによって決まることが多いです。
 上製本の方が並製本より、内質が高いという印象がありますが、全く錯覚でしょう。とは言っても、書店扱いでは、並製よりは上製を優先されているようです。購読者もそう評価してしまっているからでしょう。
 並製は本の背が角型で一律です。上製は、背が、丸と角と二種類造られています。ほぼ8ミリの厚さ(束:ツカ)以下の場合は、製本上、丸背にするのが難しくなります。薄い本はそれで殆ど角背ですね。

 本体表紙の外側に、カバーや帯(腰帯とも)が巻かれます。多色刷りが最近増えています。が、内容に適うものであれば、無理に経費をかけない方がいいかも知れません。

 ただ書店配本のものならば、カラー刷りは、あるいは必要かも知れません。
 カバーには、
PP(ビニール質)を貼ることが、多くなりました。キズ・汚れの防止から、私のところでも、この加工はおすすめしています。

4.


■自費出版・共同出版

 前回は、ほぼ工程に従って部門毎に記してみました。ちょっとつけ加えておきます。

 これまでも、各部門ごとのご相談もよせられてきました。たとえば、製本のみ、たとえば流通配本のみ。
 原稿づくりでいいますと、代筆やリライトや、主題やテーマを提供するなどしています。

 編集のみ頼みたい、ということもありますね。また流通のみ、杉並けやき出版をつかいたいとご希望のときは、早めにご相談頂ければ対応できます。と言うのは、書籍コード、流通コードや、売上票(スリップ)、奥付けなど杉並けやき出版の規定でつくってもらわねばなりませんし、流通できる内容かどうか、判断・認可する必要がありますので。もちろん流通しない出版物のときも同じです。

 最近ではこの分野の出版形態と方法に、「自費」とか「共同」のことばがよく使われています。どちらも「個人」出版の意味ですが、出版社が企画し出版する「企画もの商業出版」以外のものをそう呼ぶことにいたします。以下、少々、事務的に記しましょう。小社にに寄せられる筆者には、
(イ) ごく少部数をつくっておきたいので、自費出版にしたい
(ロ) それでも永く残るものだから内容を吟味して手を加えてほしい
(ハ) もし書店流通できるものならそうしたい
(ニ) 書店流通できるところで出版したい。印税を期待している

と、さまざまおられます。

 (イ)と(ロ)ですと、出版費用は筆者側が負担するものですが、感動させられる内容のものが豊富にあります。自由に、率直に書くことができるためでしょう。
 私たちのところでは、過剰・差別表現、構成や視点の統一などのお手伝いをしています。

 (ロ)と(ハ)の作品には、そのお手伝いを、より一歩踏み込んで、行っています。これには筆者と私たちとの熱意、気持ちの疎通がないとなかなか深められませんけれどそれだけしなければ良い作品は生み出せないでしょう。

  (イ)と(ロ)が「自費」出版と呼んでよければ、(ハ)(ニ)は、「共同」出版と呼べると思います。

(ハ)の作品群は、多ジャンルに及んできています。うた(短歌・詩…)、自分の氏族の歴史ものがたりから、日記、漫画と、実に「共有」したい内容のものが沢山生み出されてきています。

(ハ)で書店配本するものと(ニ)は、「共同」(どちらかと言えば「費用援助・分担」)出版と、私のところでは呼んでいます。

 「本」の出版経費は、本の制作費と配本・管理と社の経営費から成っています。かなり冒険的なことを言えば、この経費ギリギリのところまでは、「援助・分担」できることになります。流通できる作品におし上げられるよう筆者と私たちが協働します。
 書店(全国)流通・配本をする(ハ)と(ニ)は、「印税」があります。4〜5%あるいは7%という事ですが、個々の作品によって変わります。

 (ニ)の共同出版の場合ですと、(ハ)以上に、私たちが踏み込んで「援助・分担」いたします。ですから、作品は、販売によって利益がある程度見込めるもの、という条件が加味されます。筆者側負担は、より少なくて済むことができます。

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 ここで、あるエピソードを紹介いたします。
 私のところに、一冊の上製本が、手紙が添えられて届けられました。新聞雑誌で見かける自費出版社が発行したものです。

「原稿を送ったら一週間後に、○○文学賞の佳作に選ばれたので、『共同出版』しませんか、と(出版社から)言ってきました。粗書きしたようなものが、○○賞に選ばれたと、躍りあがって嬉び、全額をその場で振り込みました。これが一生の不覚でした……。 小川さん、できあがったこの本を読んでいただけませんか。文章が通じるように訂正をしてくださいませんか。再度本にするつもりも余裕もないのですが、原稿だけでもしっかりしたものにしておきたいのです……」

 これが文学賞佳作の本ですか?? とおどろいたのは、筆者ひとりではないことがわかりました。
 はじめての出版を経験される方には、困難なことでしょうが、ご自分の目で確かめて、たしかな編集者に出会えるようにならないと、今後もこのような悲哀事が生まれていくのではないでしょうか。

(文責/編集 小川 剛)

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