おじいちゃんが戦った日中戦争

この本をお勧めします。

今では、日本と中国が戦った日中戦争については、学校の歴史の授業の終わりの方で少し習っただけという人が多くなりました。実際に戦争を体験したおじいちゃんやおばあちゃんからお話を聞かせてもらう体験は少なくなってきています。もう少し先に、身をもって戦争を体験した大正や昭和一桁生まれの世代がこの世からいなくなってしまうと、日中戦争は、完全に学校の歴史の教科書で学ぶ出来事になってしまいます。

教科書は、日本の国の歴史の本ですから、満州事変以来の日本軍と中国軍とが衝突した事件のことが簡単に記載され、そして太平洋戦争が始まって日本は降伏しました、というように日中戦争の記述は数行で終わってしまいます。

そこでは、お国のために、兵士として、あるいは兵士の妻として、また、兵士の子供として戦争を体験したおじいちゃん、おばあちゃんたちの、死を覚悟した絶望、辛さ、愛する夫への、父への、どうか戦地から無事で帰ってきて下さいという空しく潰(つい)えた思い、無念さは語られていません。日本軍に村を焼かれた中国の住民の嘆きの声も聞こえてきません。

この本の中に収められているのは、そのような、戦争を実際に体験した方々の生の声による戦争体験の記録です。

実際に兵士として戦ったおじいちゃんにとっては、敵側の中国人だけでなく日本の兵士もむしけらのように扱かわれ、前途ある若者の戦友が絶命するのを看取った戦地での体験は、今でも忘れられない体験です。

終戦直前の満州で、民間人を守るべき日本の軍隊が真っ先に逃げ、残されたおばあちゃん達婦女子が、なんでも踏み潰して襲い掛かってくるソ連軍の戦車隊に追われた逃避行の辛酸も教科書には載らないおばあちゃんの辛い体験です。

アメリカのB29爆撃機が投下した大量の焼夷弾の炎の中で、まだ幼かった自分を守ってくれた母親と逃げ惑ううちに防空責任者だった父親を亡くし2度と会えなかったおばあちゃん、大好きな先生が戦地に向かう出征の別れに際して、悲しみを隠して、先生、私たちも立派な大人になってお国のために役立ちます、と健気(けなげ)に誓う小学生だったおばあちゃん。

この本には、おじいちゃん、おばあちゃん達のおそらく最後となるそのような生の声で語られた記録が収められています。きっと、おうちでおじいちゃん、おばあちゃんが語ってくれているのを聞いているような気持ちで興味を持って読んでいただけると思います。

中国の食品問題や尖閣列島をめぐる強硬な主張のせいで中国が嫌いになってしまった方もおられるかもしれません。そのような方も、この本に収められている、日本が戦前に中国で行った侵略行為の実態の記録にぜひ目を通していただきたいと思います。

というのは、この本の著者のおじいちゃんが繰り返し訴えているように、中国人にとっては、日本軍に村を焼かれ、奪われ、殺された戦争の歴史は、まだ過去の教科書で学ぶ過去の歴史にはなっていないのですから。日本人は、今後、望むと望まないとに拘わらず、いろいろな場面で中国人とお付き合いをしてゆくことになると思いますが、彼らの行動を批判する場合でも、この日本軍による侵略の歴史があったことの自覚を根底にしっかりと持っていないとバランスの取れた批判にはならないように思います。

それがこの本の著者の93歳の元歩兵が切に願っている戦争体験の世代を超えた継承ということです。ぜひご一読ください。

著者の次男 河村明雄

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